
2008年6月18日
《ヒト肝細胞キメラマウスによる抗C型肝炎ウイルス薬試験の受託を開始》
フェニックスバイオ(広島県東広島市)はこのほど、PXB マウス(肝臓の7割以上がヒト肝細胞からなるマウス)による抗C型肝炎ウイルス薬の薬効評価試験を、受託試験サービスとして開始することを発表した。
これに先立ち、フェニックスバイオは、KMT Hepatech Inc.(カナダ、エドモントン)と、ヒト肝細胞キメラマウスに関連してKMTが保有する特許出願(米国など一部の国では登録済み)の全世界を対象とする通常実施権を受けることに合意し、契約締結した。
KMT が出願している特許は、ヒト肝細胞を移植した免疫不全肝障害マウスに C型肝炎ウイルス(HCV)を感染させる動物実験モデルを使って HCV に対する薬効を評価する技術に関するものであり、独自技術に基づく特殊な研究用動物である PXB マウスによるビジネスを展開しているフェニックスバイオは、KMT 特許の導入により、製薬企業から抗 HCV 医薬品開発に関する受託試験サービスの提供を開始することとした。
HCV は全世界で1億7000万人の感染者がいるといわれており、国内ではすでに輸血検査にHCV検査が導入されて新たな感染者が発生しない状況になっているとはいえ、過去に輸血等で感染したキャリアが慢性肝炎を発症し、肝硬変、肝ガンに移行することが大きな問題となっている。HCVによっておこる C型慢性肝炎、肝硬変の治療には血中のウイルス量を持続的に減らすことが有効であることが判っており、現在、インターフェロン、インターフェロンの効力を高めたペグ・インターフェロン、リバビリン、およびそれらの併用療法が保険で認められ治療に使われている。しかし、効果が現れない患者も多く、より抗 HCV 効果が高い医薬品の開発に世界中の製薬会社が取り組んでいる。
しかし、抗 HCV 薬の開発の障害となってきたのが、HCV の感染力には種特異性が非常に高いことであり、動物としては人間の他には唯一チンパンジーにのみ感染するだけであった。チンパンジーはワシントン条約による保護対象となっているため、すでに日本国内では医薬品実験に使うことができなくなっており、海外でも非常に難しい状況になっている。また、ヒトの肝細胞がシャーレの中で増やすことができないことから、動物を使わない実験にも限界があった。
PXB マウスにB型、C型などの肝炎ウイルスが感染することは既に、広島大学、名古屋市立大学、東京都臨床研などの研究機関で証明され、ウイルスの複製メカニズムの解明、ウイルスの感染力の評価、インターフェロンなどの抗 HCV 薬に対するウイルスの感受性などに関する研究成果が国内外の学会等で報告されている。PXB マウスは特に、肝臓の7割から9割がヒトの肝細胞に置き換わっているため、肝炎ウイルスの感染や増幅を研究するのに適しているだけでなく、代謝・排泄などの薬物動態がヒトに近いと期待されることから、抗 HCV 薬の開発に最適な動物モデルであると考えられる。
フェニックスバイオは PXB マウス試験のラインナップとして、新たに抗 HCV 薬候補品の薬効評価試験を提供することにより、受託試験サービスの拡大を目指す。
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